back

ツヅキック(都築龍太の試合分析)

top
人が代わっている以上、守備のオーガナイズ自体を変える必要もある(J1第33節・C大阪戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:10月5日(土)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第33節、セレッソ大阪戦は0−1の敗戦となりました。

都築:いやあ、よくないですね。ビルドアップをしたかったのか、縦に行くのか中盤を使うのか。ちょっとわからない試合でした。後半の途中からはある程度セレッソが下がってくれたのでボールも運べましたし、意外とクロスも多かったのでチアゴ・サンタナ選手の形にもなりましたが、試合全体を見るとちぐはぐというか、何をしたいのかわからなかったですね。

前半は原口元気選手が前(トップ下)に入ったのでどうなるかなと見ていましたが、彼も下がっちゃいますね。中盤が落ち着いちゃう感じになります。ゲームを作ろうとする原口にはちょっと魅力がないです。

後方からビルドアップをしていく中で、GKの西川周作選手を使ったりリスクをとっていましたが、結局何も生まれない。あそこまでつなぐ意思があるのであれば、もうちょっと中盤が下りてきたり、前が動き出して裏に抜けるのが欲しかったですね。

セレッソのほうがそうした動きがあったと思いますし、レッズの先発を見ると「縦に早くいくのかな」と思いましたが、原口が相手にとって脅威になるのはあそこ(トップ下)かワイドだと思います。大久保智明選手を無理やり使う必要があるのかなとも思いました。

RP:今回もセットプレーで先制を許しました。

都築:時間帯も早かったですね。この失点がなければ、少なくとも引き分けられたかなと思いますが…。セレッソもそれほど勢いはなかったですが、若い選手に元気があるのかな。チャレンジする若い選手が多い印象で、それに比べるとレッズは保守的というか。

ただ、佐藤瑶大選手と井上黎生人選手のコンビは良かったと思います。ビルドアップも、この2人のところまではうまくいっていました。それを渡邊凌磨選手が中盤で受けに来ることが多かったですが、渡邊選手がそこで受けてもあまり意味がないのかなと。

安居海渡選手が受けて、それを渡邊選手につないだほうがチャンスになると思いますし、いまは窮屈なのか、チームの出来に比例して渡邊選手のパフォーマンスも下がっていると思います。逸れも含めて、あまり良い内容ではなかったですね。

攻撃の形もあまりなくて、後半の渡邊選手のシュートがセーブされたシーンがいちばん良かったんじゃないですかね。サンタナ選手へのクロスは意識してやったのかなと思いますが、それをするのか縦に行くのかを、もうちょっとはっきりしたほうが良いと思います。良いクロスが上がった印象もありませんでした。

ディフェンスのほうは失点シーン以外は無難にやれていたので、どういうサッカーをして勝つのかですよね。いまはそこがあまり期待できなくて、ここ何年かずっと、どういうサッカーをしたいのかわからない。

ヘグモ監督からスコルジャ監督に変わりましたが、去年のような流れにはなっていません。守備のところは落ち着いたと思いますが、後ろで回しているだけだとポゼッション率が上がるだけですし、攻撃のほうがはっきりしてこないとチームとして魅力がないですよ。ゴールに向かう貪欲さも見えてきません。・・・・・・
会員登録はこちら

都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS