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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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相手の嫌なところにうまくボールを入れて、裏のスペースも突いてチャンスになった(J1第12節・湘南戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:6月28日(水)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第12節、湘南ベルマーレ戦は4−1でレッズが快勝しました。

都築:完勝でしたね。同点に追いつかれたときはちょっと変な雰囲気になりましたけど、それ以外は終始レッズの試合でした。湘南もいい崩しはありましたが、最終ラインではしっかり守れていましたし、湘南の守備がちょっと緩すぎましたね。

裏へ抜けるボールはだいたい通るようなディフェンスでしたが、いいボールが出ていましたし、特に左サイドで大畑歩夢選手が起点になっていました。彼が抜けたり周りを追い越したりという形を多く作れた試合でした。

その結果4点を取れましたし、点を取るんだというアグレッシブさが多少見えてきましたね。ただ、欲を言えば前半もう2、3点は決められるシーンがありました。それが1−1になってしまって、途中までは自分たちで苦しめたような試合でした。

やっぱり決められるところをしっかり決めないと楽な試合にならないですし、そこを決められないのが前の試合までのレッズだったので。終わってみれば4−1と、大量点が奪えたのは良かったと思います。

RP:この試合は前半からペースを握っていました。

都築:相手の嫌なところにうまくボールを入れて、裏のスペースも突いてチャンスになっていました。相手GKに防がれたところもありますが、多くのチャンスを作り出していた中で1点しか取れませんでしたし、そこはずっと課題です。

ただ、嫌な形で失点したあとも攻撃の手を緩めずに、2点目は個人の能力の得点でもありましたが、崩しにかかって崩し切れていたシーンは多かったと思います。あとは決めるだけでした。特に前半の左サイドと裏のスペースは狙い目でした。

両サイドの高い位置からクロスを上げたときにチャンスになっていて、湘南のDFラインが安定していなかったのもレッズにとっては良かったかなと思います。あまり相手のことをいう必要は無いと思いますが、あのDFの対応だときついでしょうね。

大量失点しても仕方がないような守備で、みんながボールウォッチャーになっていてスペースを見られなくなっていました。アレクサンダー・ショルツ選手やマリウス・ホイブラーテン選手のように試合を読める選手もいないので、パスの出し手にプレッシャーがかからずいいボール出されると、なかなか対応できないのかなというディフェンスラインになっていました。湘南は鳥栖戦でもサイドを崩されていて、点差がついちゃったあとではありましたが、クロスで2、3失点していたと思います。そこがポイントになりましたかね。

RP:まずは前半、興梠慎三選手のゴールで先制しました。

都築:大畑選手のファーストタッチで決まったと思いますが、あそこが通るというのはDFラインとして相当ゆるいですよね。そうしたところも含めて、相手の守備に助けられたところもありますが、前半は非常に多くのチャンスを作れました。ただ、そのうちの半分以上は決めきらないといけないシーンだったと思います。

RP:そして後半の早い時間帯で追いつかれてしまいます。

都築:湘南も勢いよく来ていた中で、酒井宏樹選手が倒れたことでちょっとプレーをやめちゃったところはあったと思います。相手の入り方もうまかったと思いますが、ショルツ選手も遅れてしまいました。一瞬、気が抜けちゃったシーンだったかと思います。あの状況だと倒れていても(ボールを外に)出さないですから、そういう前提でプレーしないといけません。

レッズの2点目は、関根貴大選手まで運んだあとは、一回キックフェイントを入れたところで、イメージができてゴールは見えたのかなと思います。シュートも際どいコースをねらっていて、しっかり点を取れたことは大きいですね。

3点目は右サイドからの崩しでしたが、非常にいいタイミングでいいスピードのボールが入りました。関根選手は合わせるだけでしたね。前半で得点につながらなかった形でしたが、それが実りました。

同点になってから10分くらいは湘南がイケイケできていましたが、それでも西川周作選手を脅かすようなピンチはなかったですね。西川選手は前節ああいうミスをしてしまいましたが、積極的にボールを受けようとしていましたし、後ろで時間を作れるのは武器です。

DFとしても、最終的なところで負けないのは失点が少ないことにつながっていますし、ある程度崩されても最後のところで体を張れます。前半の7分のピンチでは、サイドを崩されて最初に対応したのもショルツ選手で、最後にしっかり戻ってブロックしたのもショルツ選手でした。

3−1になってから交代した選手が多かったですが、途中から出た選手も余裕をもってプレーできていました。最後はカウンタ―からホセ・カンテ選手が得点して、頑張っているといいところに転がってくるんだという感じでした。ただ、湘南からすると負の連鎖でああなってしまうというイメージでしょうね。

ここ最近できていなかったぶん、大量点で勝てたことは自信になったかなと思いますが、湘南はちょっとひどいですね。崩しでいい場面はあるのですが、DFラインも含めて重症なのかなという感じがしました。

レッズがよかったのか、湘南が悪かったのかというのはありますが、勝負ですから。結果がなによりなので、勝ったことと4点取れたことはいいことです。これを続けて、続けていきながら進化していかなければいけません。

RP:連戦が続きますが、次は中2日でサガン鳥栖戦です。

都築:鳥栖も波がある感じですが、彼らも大勝したあとなのでいまはいいタイミングだと思います。運動量が非常におおくて、中盤に機動力のある選手がいるのでつかまえづらいですが、失点しないところに関しては自信をもってやってもらえれば。

あとは鳥栖がとにかく頑張るので、粘られると苦しくなります。月並みですけど、先に点を取ることが大事だと思います。いまのレッズとしては、なおさら先制点が重要だと思います。


RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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