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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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レッズがやるサッカーを統一させる。それを徹底させないといけない(シーズン総括後編)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説します。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:前編では20シーズンの課題を話していただきました。来季の展望としては。

都築:来季就任するリカルド・ロドリゲス監督が指揮を執っていた徳島の試合を見ていても、受け身にならないように、常に主導権を握っていこうというサッカーをやっています。相手に合わせるのではなくて、自分たちがどういうサッカーをするのかはっきり見せるというのが大事になってくると思います。

そういった意味では、受け身のサッカーよりも主体的にやるサッカーのほうが、はっきり言って面白さはあるので、そこに関しては期待できる部分は大きいかなと思いますね。徳島はビルドアップもしっかりつなぐし、長いボールもパターンを持っていたりしますから、攻撃のバリエーションは出てくるんじゃないかと思います。

RP:ミシャ監督で慣れているとも思いますが、後ろでじっくりつないでスタイルを観客が受け入れられないんじゃないかということも懸念されます。

都築:ペトロビッチのつなぎは独特で、簡単に言うと食いつかせておいて数的優位をつくっていく形ですけど。それをするにはリスクもありますし、相手が取りに来なかった時はただつないでいるだけに見えたりしますから。そういうところに不満が出る人もいるでしょうけど。

徳島は、後ろでつないでいるときの前線の動きが非常に多かった。実は福岡と徳島の最終節は現地で見たのですが、徳島があのメンバーとあのサッカーでJ1で行けるかどうかは別として、やろうとしているサッカーは福岡よりも良いサッカーをしていました。

僕は非常に楽しいサッカーだと思います。ペトロビッチと比べても、より前線の動き出しや受ける動きが活発なサッカーをしていると思います。ただ監督はそういうサッカーの戦術を持っていますけど、やるのは選手ですから。

RP:監督が変わる中で、選手の得意なスタイルがバラバラだったというのも近年の課題だったと思います。

都築:やるサッカーを統一させないといけないですよね。監督が変わるたびに戦術が変わって、それに順応できないまま終わってしまうというシーズンが続きましたから。そこを徹底しないといくら良い監督が来ても厳しいですから。すぐに結果が出ればいいですけどそんなに甘くはないと思います。

3年計画も出だしは順調じゃないですけど、リカバーは出来ると思うので。あとはメンタルが大事になってくるでしょうね。負けているときに負のメンタルに陥って、勝っているときも追いつかれたら危なくなってしまう。

そういったところも含めて「浦和を背負う責任」のようなことを掲げていると思いますけど、僕が経験したレッズはやっぱり、ホームでは負けないという強い気持ちがあったチームだったと思うので。それが今はなかなか感じられないなというところもあって、今季で言うとJリーグ全体が緩かったとも思いますけど。

来季は4チーム降格ですから、そこに入らないように。まずは1試合1試合が大事ですよね。結果を出すためにどうするかを意識しながらやっていければ。日程が今季ほどタイトになるかわからないですけど、今年のようにならないようにシーズンを通して安定し戦い方をしなければいけないと思いますね。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS