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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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悪い流れの時は前線の選手が孤立してしまっている(J1第24節・松本戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説します。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:8月23日(日)に埼玉スタジアム2○○2で行われた明治安田J1第24節、松本山雅戦は1−2で浦和レッズが敗れてしまいました。

都築:もう何も言えない。残念ということだけしか。試合の入りはそんなに悪くなかったと思うけど、後半に運動量が落ちて何もできなくなったというところかな。選手の距離、特に前線は全然よくないし、悪い流れの時はバランスを見ても前線の選手が孤立してしまっている。ボールが動いている時は得点する前のファブリシオ選手が絡んだコンビネーションで良いプレーが何度もあったけど、そういう時は人も動き出しているしボールも動いている。でも悪い流れの時はたとえば興梠(慎三)選手がボールを持つと、パスコースとずっと探している。受け手を。それで自分でボールをキープしてサイドに行くとか。それは誰が入っても同じ。

RP:周りが動き出さないからボールを持っている選手が次に出すところを見つけ出せないということでしょうか?
都築:ファブリシオ選手はボールを持ったら離さないというか離せない。彼がボールを持っている時間はかなり長いと思う。柏木(陽介)選手が入ったけど、彼を生かさないといけない。彼を生かすにはボールを当てて動き出す。柏木選手がボールを持っても前、特に興梠選手を狙っているだけ。中盤でさばくといっても松本が一定のところまで行かない限りはプレッシャーを掛けてこなかったので、それも考えると長いボールで対応するのはあまり意味がなかった。うまくできていた時は相手のペナルティーエリアの前までうまくボールを運んで細かいパスでつなげていた。

RP:そういう良い時間帯に先制点が生まれました。
都築:得点シーンは人とボールが動いていた。サイドに出たボールに関しては橋岡(大樹)選手選手は多分、自分にところには来ないと思いながら走り出した感じだったけど、良いクロスボールだったし、中のファブリシオ選手もうまく合わせた。サイドを使うとか中を崩していくとか、もうちょっとはっきりさせないとロングボールだけじゃさすがに何もできない。

RP:先制して折り返しましたが、最初に都築さんが指摘された後半です。
都築:後半は完全に足が止まって、特に前と中盤の距離がかなり空いて前からプレスにいけずにサイドをどんどん使われた。失点シーンは2失点とも同じだけど、マークする選手は足りているのに守りきれない。特に1失点目は2人が競っているのに。クロスも簡単に上げさせてしまっている。2失点目の関根(貴大)選手のマークの付き方は難しいと思う。

RP:一度ゴール方向に向かいながら走る方向を変えてマイナスのクロスに合わせる形でした。
都築:上げさせた時点で高橋(諒)選手とクロスの上げ手だけが分かっているようなマイナスのボールになっていた。シュートもうまかった。でも1失点目はヘディングが強いと言われている選手が二人競っていた。修正しないといけないことは多いと思う。ましてや今から上海で戦うわけだから、切り替えてACLモードにするしかない。ただ、内容があって負けているということではない。内容、結果ともどもうまくいっていない。何かきっかけがないと大幅には変わらないかなと思う。

RP:大槻毅監督になり、最近でも磐田に勝利してから3試合連続引き分けもありましたが、勝ちきれないことは確かながら内容自体は良くなっている印象でした。
都築:良いサッカーをしていたと思う。その時はボールも人も動いていたし、サイドも両方使えていたし、中もしっかり動き出していてクロスを上げた時もゴール前に二人以上はいた。それが今との違い。疲れているのかな? でもその言い訳は通用しないから。改善しないといけないし、ACLに切り替えて戦うしかないという順位になってきてしまっているから、2年前にちょっと似ている。でもリーグ戦もしっかり戦わないといけない。

RP:ありがとうございました。
 
(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』菊地正典記者)

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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS