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練習レポート

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モンテレイ指揮官・ドメネク トレント監督「考えるべきは勝利のみ」チーム作りの上で興味深い言葉が続々と

「練習レポート」は、大原サッカー場の模様を、ほぼ毎日更新するコーナーです





モンテレイ指揮官・ドメネク トレント監督「考えるべきは勝利のみ」チーム作りの上で興味深い言葉が続々と

現地時間のあす6月25日(水)18時キックオフ、ローズボウルスタジアムで、浦和レッズはFIFAクラブワールドカップ2025 グループステージ第3戦となるメキシコのCFモンテレイ戦を迎える。
モンテレイを率いるのが、スペイン出身のドメネク・トレント監督、新任である。長くペップ・グアルディオラのアシスタントを務め、“ペップの右腕”、“ペップの参謀”と評されている。

《ドメネク・トレント監督》
Q:チーム状態は?相手は普段、国際大会であまり姿が見られないため、情報が少ないチーム。しかし、非常にスピードがあり、最後まで諦めない激しいスタイルを持っています。これまで対戦してきた格上の相手には、非常にうまくプレーの連係を遮断できていたが、今回は、どのような戦い方になると考えていますか?
A:私たちは、浦和レッズのことをよく知っています。非常にリスペクトもしています。すでに彼らの試合を6試合ほど見ました。クラブワールドカップの2試合に加えて、Jリーグの試合を4試合ほど分析しました。
おっしゃる通り、非常に速く、インテンシティの高いチームです。特にカウンターで大きなダメージを与えてきます。トランジションに優れており、そういう意味でも全く異なるタイプの相手です。浦和はこのグループの最下位にいますが、勝たなければなりません。
浦和はリーベルやインテル相手に非常に良い試合をしましたし、実際にインテル戦では92分にゴールを許し、敗れました。そのぐらい彼らは組織がしっかりとしており、戦術的な秩序を保ったチームです。あすは、得点が求められる試合になります。

Q:得点が必要な状況ですが、あまり点が取れていない現状をどう克服するかが鍵になるかと思います。その点について懸念はありますか。また、その課題に対して、どのような準備をしてきましたか?
A:いいえ、私は懸念していません。我々は全く異なるスタイルでプレーしてきましたし、試合によって必要なアプローチも異なります。たとえば、「点を取りに行くべきだった」という批判も耳にしますが、それをしていれば、おそらく勝ち点はゼロだったでしょう。誰と戦っているのかを理解しなければなりません。特にインテル戦では、まず、相手をコントロールする必要がありました。多くのファンや国際メディアは、我々が、このグループで勝ち点1でも取れれば上出来だと予想していたはずです。それが今は勝ち点2で、想定よりも1ポイント多い。誰もインテルと引き分けるとは思っていなかったでしょうし、そこから考えても攻撃陣を責めるべきではありません。
前の質問でも触れられていましたが、我々はダメージを受けないようにプレーすることを優先し、持ち得るチャンスで勝負してきました。インテル戦では良い場面がいくつかありましたが、リーベル戦では、ほとんど攻撃の形が作れなかったのは事実です。受け止めなければなりません。
ただ、我々はメキシコリーグにいるわけではありません。たとえば、サン・ルイスとの試合ならば、1試合で8回、10回とゴールチャンスを作れるかもしれませんが、この大会ではそうはいきません。
うちには攻撃的なクオリティを持った選手が揃っています。ベルテラメ、ルーカス、テカ、セルヒオ・カナレス……と彼らを責めることはできません。むしろ、我々は相手のプレーを遮断しようと試みていたのです。特にインテル戦では、それが顕著でした。
リーベル戦では、相手がサイドからの攻撃を多用してきたので、後半に5バックに戻して外側のルートを制限しました。ただ、明確なチャンスが作れない中で、ロベルトもルーカスも、得点機を得るのは難しかったです。あすの試合では、我々が攻めに出なければなりません。勝つ以外に選択肢はありません。我々にはチャンスがあると信じています。考えるべきは勝利のみです。
リーベル戦の後にも、選手に言いました。「もし、あすの試合に勝てなければ、それは我々にふさわしい結果だ」と。たとえ、インテルやリーベル相手に良い試合をしていたとしても、勝てなければ、グループ突破の資格はありません。

Q:大勝が必要になる可能性がありますが、その点はモチベーションになりますか?それとも気になりますか?
A:大差がそれほど必要というわけではありません。結局のところ、他の試合の結果次第です。たとえば、我々が1対0で勝って、他が0対0ならば、首位通過も可能です。正直なところ、レギュレーションを何度も見直しているうちに、みんな少し混乱してきていると思います。大事なのは、とにかく「勝つこと」です。
他のチームがどうなろうと、我々が勝てなければ意味がありません。だから私は、選手たちに「複雑な計算に頭を悩ませるな」と言いました。勝たない限り、その先の話はできません。もちろん、大差で勝てれば、なお良いですが、非常に難しいでしょう。リスペクトを込めて言いますけど、相手が欧州王者や南米王者に比べて楽だと思われがちですが、浦和レッズも、非常に良いチームで、すでにその実力を示しています。我々は、まだ何も成し遂げておらず、相手が誰であれ勝たなければいけない。そのフォーカスを見失ってはいけません。

Q:この大会は、世間からも高い注目を集めています。クラブとして、この新しいクラブW杯に参加することはどのような意義がありますか?
A:非常に重要な機会だと思います。クラブとして、そしてメキシコ全体のサッカーを世界に示すチャンスです。今回、メキシコからは2チームが参加していますし、私たちは、リーガMXの競争力を示す代表として臨んでいます。
ヨーロッパの同業者たちも「メキシコリーグは非常に競争が激しい」と言ってくれます。メキシコ人選手も、外国籍選手も非常に質が高い。ですから、今回のような世界舞台で、メキシコサッカーの実力を示せることは大きな意味があります。

Q:スペイン人選手たちについて、お伺いします。インテルやリーベルとの試合では、相手の強さを前に自由なプレーをするのが難しかったと思いますが、カナレスやリラ・トーレス、そして、ここまで目立っているセルヒオ・ラモスなどのパフォーマンスをどう評価していますか
A:スペイン人選手たちに限らず、みんな、素晴らしい働きをしています。私は事前に先発メンバーを公表しません。ホテルを出る直前に発表するのが、これまでのクラブでもずっと機能してきましたので。
彼らスペイン人選手たちも含めて、チーム全体として非常に集中しており、意欲的です。外部からは「こういうチームだろう」と予想されていたかもしれませんが、実際には非常にプロフェッショナルで、意欲的な集団です。
リーベルやインテル相手に引き分けることは大きな成果でしたが、次のステージに進むためには「勝つ」しかありません。我々は、ただ競争するだけでなく、突破を目指してこの場に来ています。結果を保証することはできませんが、最後の瞬間まで全力で挑みます。それだけは約束できます。
日本サッカーに関して言えば、私は、神戸で5年間働いていたスタッフがいるので、よく知っています。日本人選手は非常に速くて、インテンシティが高い。代表チームもドイツやスペインを相手に素晴らしい試合をしていますし、クラブレベルでも今、絶頂期にあると思います。だからこそ、「もう半分は勝ったようなものだ」と思うのは間違いです我々はゼロからのスタートです。勝つために、最後の一瞬まで努力を惜しみません。
我々は、最初の練習の初日から、対戦相手への準備を始めており、毎回のトレーニングで異なる戦術的状況を想定しています。たとえば、浦和は4-4-2のミドルブロックと見られていますが、実際はサイドバックを高く上げた時にウイングがついてくるため、6バックのような形になります。
こうした細かい点を、我々は日々の練習で重点的に取り組んできました。どこにスペースがあるのか、どのような長所、短所があるのか、把握した上で準備をしています。
セットプレー、特にコーナーキックについても、入念に準備しています。モンテレイではなく、他のチームでもアシスタントをしていた頃から、この分野を担当していました。良いキッカーと、たとえば、セルヒオ・ラモスのような優れたヘディング役がいれば、得点も可能です。
実際、インテルはコーナーから試合を動かし、リーベル戦でも、マクシミリアーノ メサが得点しました。我々は浦和に限らず、どの相手に対しても、セットプレーを強みにしなければなりません。私にとっては、試合には、2つの側面があります。1つは戦術的なフィールド上の戦い、もう1つはセットプレーでの勝負です。そこでも強さと効率を示さねばなりません。

Q:監督は、かつてペップ・グアルディオラと共に哲学的なサッカーを築き上げてきましが、一方でメキシコには「短期的な結果重視」という文化が根強くあります。日本や韓国のように継続的な取り組みを進める国と比べて、モンテレイでは、どのようなアプローチで取り組んでいるのでしょうか?
A:メキシコのサッカーは、私にとって非常に魅力的ですが、監督にとって問題もあります。それはリーグ戦の形式が非常に短期的であるという点です。たとえば、開幕から6ヶ月経って結果が出なければ、名門クラブであるモンテレイのようなチームですら、立場が危うくなります。ヨーロッパでは少し状況が異なり、たとえば、ユルゲン・クロップはリヴァプールの最初の3年間でタイトルを獲れませんでした。しかし、彼には明確な哲学があり、クラブは時間を与えました。その結果、チャンピオンズリーグやリーグ優勝に繋がったのです。
私はプロセスを信じていますが、メキシコにそのプロセスが存在しないと理解した上で来ました。だからこそ、まずは勝たなければならないのです。勝てば時間が与えられる。そして時間があれば、明確な哲学を根づかせることができます。私はよく「スタイルがあるチームは、負けてもそのスタイルを土台に再挑戦できる」と言っています。スタイルがないチームは、ただ、当てずっぽうに選手を補強するだけです。私は「どう勝ちたいか」まで明確にして、チームを作りたいと考えています。
とはいえ、このクラブワールドカップのような短期決戦では、最初から勝ち点を得て生き残ることが第一です。どんなに理想を語っても、負けてしまっては意味がありません。なので、今大会では現実的な対応をしてきました。
たとえば、私たちがマンチェスター・シティで働いていた最初の年、ペップは3位に終わりました。しかし翌年には100ポイントでプレミアリーグを制し、歴史的な記録を打ち立てました。それが可能だったのは「時間」が与えられたからです。
私は時間を要求するつもりはありません。それがどれだけ貴重か、よく分かっているからです。だからこそ私は「メキシコに来た」のであって、「メキシコが私のやり方に合わせる」のではありません。まずは勝利を収め、その結果として自分の哲学を根付かせたい。それが私のアプローチです。

Q:監督は着任時に「モンテレイのレベルは、かつて欧州で経験したトップレベルとは違う」とも発言していました。今回のクラブワールドカップのレベルは、チャンピオンズリーグや欧州主要リーグと比べていかがでしょうか?
A:とても素晴らしい大会だと思います。ただ、各大陸のチームは、それぞれの時期に異なる状況にあります。ヨーロッパのクラブはまだプレシーズン中で、逆に日本やブラジルのチームはシーズン中にあたる。たとえば、エジプトのクラブなども、非常にレベルが高いです。3〜4クラブは確実に競争力がある。世界のさまざまなスタイルが交差する場として、今回の大会はとても有意義です。
この大会では、各大陸のチャンピオンたちが集い、異なるスタイルをぶつけ合います。ヨーロッパのクラブは南米や中米、アジアの優れた選手を多く擁していますし、その意味でも、今や力の差は少なくなっている。観客も素晴らしい。ロサンゼルスでは、毎試合2万5千人〜3万人のファンが応援してくれています。こうした雰囲気、そしてスタイルの違うチームとの対戦は、サッカーに関わる全ての人にとって大きな財産だと思います。


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