「練習レポート」は、大原サッカー場の模様を、ほぼ毎日更新するコーナーです
5月11日(日)、古巣対戦という特別な公式戦で、長倉幹樹は、78分に途中出場を果たし、直後の80分に、チームに勝ち点をもたらす同点弾をたたきこんだ。複雑な表情が印象に残った。
試合後、映像を見返したという。もう一度、クロスボールを入れた石原広教を称える。「ヒロくんのクロスが良かったので、中で合わせられたと思います」と控えめに話す。予感はあったようだ。「あの試合だけじゃなくて、前の試合とかも含めて。信じていました」と振り返り、イメージ通り?の問いに「はい」と答えた。
ゴールから少しだけ時間が経ち、浦和レッズ移籍後初ゴールという観点では「良かったです。(ゴールが)とれて良かったです。ここからもっととれるように、まずは試合に出られるようにやっていきたいです」と話した。
過去の経験を踏まえても、シーズンのファーストゴールは、FWに勢いを与えるものだ。「気持ちの部分では変わってくるので、そこは楽になったというか。良い方向に進むと思います。一緒の時間帯に出る選手が、普段からよく一緒にやる選手なので、そういう選手たちと試合に出た時に練習の成果を出したいと思います」と意気込む。
幹樹は、沖縄・金武町キャンプの時から、中島翔哉を中心に息が合う選手がいた。入っていく時、ひと足先に翔哉がピッチにいたのは心強かっただろう。「そうですね。翔哉くんとは一番多くやっていると思います」と少し笑みを浮かべた。
幹樹は順天堂大学卒業後、関東社会人リーグの舞台で東京ユナイテッドFCの一員として戦った。その年の夏、チームは優勝争いの渦中にいたが、彼のもとに届いたザスパクサツ群馬(当時)からのオファーに、クラブは承諾した。
この時、クラブは公式ホームページにこう綴っている。
『優勝争いをしているチームにとって、絶対的エースを失うことは大きな痛手ですが、選手の成功を犠牲にしてまでクラブの成功を追求することは本意ではなく、迷うことなく、このタイミングで送り出すこととしました。いつかまた、共に戦う日が来ることを夢見つつ、彼のJの舞台における活躍を祈ります』
幹樹の浦和レッズ移籍時にも、熱いメッセージを寄せていた東京ユナイテッドFCだが、この思い、言葉は胸に響く。
ザスパクサツ群馬で、監督として彼の加入を待ち望んでいたのは、浦和レッズユース時代に共に戦った大槻毅さんだった。そして、アルビレックス新潟でも、幹樹は愛された。「やっぱり、新潟の人は良い人ですし、好きだと思いました」と真っ直ぐに話す、正直な言葉のチョイスは、実に幹樹らしい。そこがどこへ行っても愛される理由だろう。
人との出会いについて、幹樹に尋ねてみた。幹樹自身の日頃の努力が引き寄せるところはあるだろうが、幹樹は「(人との出会いは)めちゃくちゃデカいと思います。自分は強運だと思うので、運が、ここまで連れてきたと思っています」と言いきった。
あらためて、浦和レッズに頼もしい選手が帰ってきてくれたと感じる1日になった。
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