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REDSニュース|館林の地で、“考えて行動する” 岩尾の真髄に触れたような気がした〜岩尾憲 第1回サッカー交流会レポ|レッズプレス!!

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館林の地で、“考えて行動する” 岩尾の真髄に触れたような気がした〜岩尾憲 第1回サッカー交流会レポ



ボールや水筒を取りに行く。
1列に並ぶ。
チーム分けをする。
あらゆる場面で、岩尾 憲は、小学生たちに素早い行動を求めた。
「早く動けば、ゲームの時間を長くとれるぞ」。
今回、岩尾は子供たちに、80分間の時間を与えた。目的は、プロサッカー選手との交流。この限られた時間を、どのように使うかは自分次第だ。都度、岩尾は、そんなヒントを口にしながら、息があがるぐらいの全力で、一緒にボールを追いかけていた。
参加した小学生は、この先、この体験をどんな経験に変えるのだろうか。


1988年4月生まれの岩尾にとって、Jリーグは、夢を与えてくれた世界である。当時5歳。テレビ画面に映る華やかな世界に「サッカー選手」を夢見る。その強烈な印象、芽生えた目標は、その後の生活に大きな影響をもたらした。そして、たくさんの工夫を重ねてきただろう。身近にロールモデルがいなかったからだ。そうやって岩尾はプロになり、昨年、世界大会のピッチに立った。

3位決定戦から、わずか2週間。1月7日(日)、群馬県館林市内にある城沼陸上競技場に、始動前の岩尾 憲の姿があった。構想から約1年、館林市サッカー協会や多くの協賛企業のサポートのもと、冬晴れのグラウンドで、岩尾は、念願の『第1回サッカー交流会』を開催した。
岩尾は、板倉町出身で鹿島アントラーズ所属のFW垣田裕暉、前橋育英高出身で、今季よりガンバ大阪でプレーするMF鈴木徳真、2人の徳島ヴォルティス時代の仲間に参加を依頼し、共に汗を流した。

午前・午後の2部に分かれ、地元の小学4年生から6年生、合わせて105人が参加したという。所属クラブに関係なく、連係を高めたり、競い合ったり、チームワークを高めるメニューが組まれた。そして、最後にメインメニューとなる、小学生 対 大人のゲームを実施。
午後の部では、岩尾の、左から右へのロングフィードを鈴木が受けて持ち運び、ゴール前で垣田が好機を作ったり、ピッチを広く使って、その違いを見せた。最後は岩尾がゴールを決め、交流会は締めくくられた。

ハイライトは、閉会式の前にもあった。ゲームを終えた子供たちが集められると、岩尾が口を開いた。「(ハーランドのような)そういう選手が、歳上の選手たちに“大人げないよ”なんて言っていると思う?」と語りかけると、こう伝えた。

「それは自分に対して、弱い言葉を自分に言っているようなものだから、是非、それは改めて。歳上だろうが、歳下だろうが、サッカーはサッカーだし、勝ちたいのであれば、自分がもっと練習をして、この大人げない人たちに勝てるように練習すればいい」

「今は難しいかもしれない。今、すぐは勝てないかもしれないけれど、僕たち3人もね、たくさんの時間をサッカーという競技にかけて、みんながゲームしている間も、練習して、練習して、足にマメ作って、痛い思いしながら、今、僕たちはこの立場で、プロサッカー選手として、サッカーをしています」

「みんなは、プロになるかならないかは分からないけれども、もし、本当にもっとサッカー上手になりたいとか、もっとプロにむかって突き進んでいきたいと思うんであれば、自分に対して言い訳せず、あの人が悪いとか、この人はずるいとか、そんなことはどうでもよくて。あなたたち自身が、どう、なりたいかということにもっと心を向けて、サッカー、取り組んで下さい。そっちの方が必ず、成長するし、成長する速度も絶対、速いです」

「言い訳している人は、ずっと成長できない。言おうと思えば、いくらだって言える、今日だって。プロ相手だから無理だよって言っちゃえば、その通りなんだよ。でも、プロ相手に、自分が何をトライしたかの方が大事じゃん。勝った、負けただけじゃないから」

「それを、心に、是非残しておいて、また、大好きなサッカーを続けて欲しいなと思います。また今日、いろいろと感じたことがあると思うので。ちょっと最後に、気分の悪いことを言っちゃったかもしれないけれど、みんなには可能性があるし、本当にそうなりたいと思えば、なれる時間も、力も、絶対にある。俺がそうだったから。みんな、そうだったから。だから是非、頑張って下さい」

「これを機会に、また、もっともっと練習してもらって、サッカー上手くなれば、もっと楽しくなるんでね。良い時間の使い方をして下さい。今日はありがとうございました」

この岩尾のメッセージは、マイクを通して、スタンドを埋めた保護者や、会場に駆けつけた徳島ヴォルティスや浦和レッズのサポーターにも届き、それぞれの胸に刻んでいた。また、交流会の主催である館林市サッカー協会の大木博一会長は「プロに直接、言葉をかけられた子供たちが、これからどのような生活するか。思いを言葉にできる選手で、本当に素晴らしい」と感心しきり。
岩尾による『第1回サッカー交流会』は、唯一無二の場になった。

(取材:レッズプレス!!有賀久子)






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