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REDSインタビュー

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工藤孝太を弟にもつ、役者・工藤成珠さん主演映画『ひとしずく』が9月6日から新宿・K’s cinemaで公開

「REDSインタビュー」はトップチームを中心に、選手や監督、スタッフ、関係者の話を深掘りし、その言葉を届けるコーナーである。
今回は、現在ファジアーノ岡山で3バックの一角を担うアカデミー出身のDF工藤孝太を弟にもち、自身も試合時の埼玉スタジアム2〇〇2でアルバイト経験もある、和歌山県出身の役者・工藤成珠さんに話を聞いた。



[REDSインタビュー]工藤孝太を弟にもつ、役者・工藤成珠さん主演映画『ひとしずく』が9月6日から新宿・K’s cinemaで公開



工藤成珠さんが主演を務める映画『ひとしずく』。

本土最南端の鹿児島県南大隅町を舞台に、東京から『地域おこし協力隊』として、同場所に移住、着任した主人公・香澄の挑戦と成長の物語だ。成珠さんは、主人公・香澄を演じている。

豊かな自然と、透き通った川の水の流れ……。この映画は、とても穏やかなシーンで始まる。最初の2分ほどで、外のうだるような暑さを忘れ、映像の世界に没頭できた。


公式ホームページには、こんな文章があった。


「一滴の水が大海をすぐに変えることはない。だが、その“ひとしずく”が混ざることで確かに成分は変化する。そしてその後の変化を生み出すのは、日々の暮らしの中で流す汗と涙、すれ違いと理解、挑戦と失敗の積み重ねである。」と。


作品名でもある『ひとしずく』は、主人公・香澄そのものである。


香澄の奮闘や心の揺れを丁寧に演じた工藤成珠さんに作品に携わった感想を伺うと共に、まさに今、弟・工藤孝太がファジアーノ岡山の『ひとしずく』として活躍する様子を尋ねた。


Q:9月6日(土)から都内・新宿の劇場『新宿 K's cinema』で公開されることになりました。おめでとうございます。主演として、今、どのようなお気持ちですか?
工藤:この映画が、一番最初に上映されたのは2023年でした。舞台である鹿児島県南大隅町での野外上映会で始まり、今回が初の劇場公開という形なので、山下大裕監督をはじめ、映画に関わったみんなの念願というところもありますし、このK's cinemaで自主制作映画の上映が出来るというのは登竜門だと言われたりもするので、まずは一歩、進めたなという気持ちが大きいですね。

Q:たしかに、K’s cinemaは爆発的人気となった作品『カメラを止めるな!』の公開の始まりである劇場ですね。山下監督とのお仕事は初めてですか?
工藤:今回のようにガッツリと参加させて頂いたのは初めてですね。以前に『平成最後映画』というオムニバス映画作品に出演したのですが、この時、山下監督は『変遷』という、私が出演した作品とは、別のお話を制作されていたので。その時に「いつか一緒にやれたら良いよね」と言って下さっていて。今回、それが実現しました。

Q:今回、成珠さんが演じた主人公の香澄は、鹿児島県南大隅町の『地域おこし協力隊』に着任するところから、自身の経験など人生が大きく動くわけですが、脚本を手にした時の印象は?
工藤:オーディションを受けている時から、この役は自分がやるんだという手応えと言いますか、自信がありました。ナチュラルな感じ、というオーダーを頂いて。スッと入ることが出来たんです。台本を読んだ時にも共感する部分が多かったですし、何だか身体になじむ感じがあるお話でした。楽しみだな、という気持ちが大きかったですね。

Q:主人公・香澄の喜怒哀楽、さまざまな表情が見られる作品でありますが、感情の起伏など、やり甲斐や難しさをどんなところに感じましたか?
工藤:撮影は、約2週間で撮休が1日あったかどうか、というタイトな撮影スケジュールで。初日の撮影で、感情の起伏で言えば下降する部分を撮ったので、気持ちの持っていき方など、難しい面がありました。ただ、現地の南大隅町の方々と一緒に過ごす時間が多く、もともと私自身、この作品に入る時に、現地に入って自分の見たモノを演技に全て出せると良いなと思って臨んでいたので、そういう現地の方とのコミュニケーションから、思いを表現出来た部分は手応えとなり、やり甲斐となりました。

Q:作品のエンドロールには、たくさんの方々の名前やお店が出てきますね。
工藤:凄いですよね。中には、今回がスクリーンデビューの地元住民の方もいて。

Q:香澄が住む家の、大家の女性ですよね。
工藤:はい!そうです。一緒にいろいろと試行錯誤しながら、演技することが出来ました。初めてとは思えないほど、お芝居がとても上手で。この映画『ひとしずく』のカラーをしっかりと出してくれているなと思います。他にも、そういう方もいらっしゃったり。皆さんと一緒に楽しみながら作品を作ることが出来たのはとても楽しかったです。

Q:作品のお話の中心にあるのは『地域おこし協力隊』です。山下監督自身も経験され、作品制作にあたっては、200名を超える全国の地域おこし協力隊の方に取材インタビューを行ったということですが、良い側面ばかりではないところが描かれ、現実をつきつけられたというか、気持ちがギュッとつかまれる感覚がありました。
工藤:撮影に臨むにあたって、今回、役作りという役作りはしないでおこう、と思っていました。もちろん、主人公が悩むシーンなど、どのように表現するかは、これまでの経験を生かしていくことがありましたが、それ以外は感じたままに、ナチュラルに、というのを意識しました。

Q:主人公の周りの方々の反応もストレートな表現でしたからね。その演技を受けて、自然に反応されるというイメージですかね。
工藤:そうですね。そこから良いものが生まれれば良いな、と思いました。映画では鹿児島弁が出てきますが、聞き取るのが難しいところがあって。そこは、私も主人公の香澄と同じと言いますか。演技の中で、何を言っているか分からないけれど、でも、きっと今、良いことは言われていないんだろうな、という感覚のもと、演じました。

Q:主人公・香澄の良いところについて、成珠さん自身、どんなところに感じますか?
工藤:行動力があるところですね。猪突猛進で。1回決めたら、絶対に実行したい!みたいな。そんな思いの強さがある部分はすごく良いところだなと感じました。自分にも重なるところもありますし、香澄ちゃんの原動力は見習いたいなと思います。ま、ちょっと、香澄は、周りが見えなくなる瞬間とかもあるのですが、素直で、真っ直ぐな部分は、周りを仲間にしていく要因かなと思います。

Q:もう1つ、エンドロールを拝見して感じたのは『食事協力』の文字があり、20名を超える方々の名前が載っていましたね。
工藤:そうなんです。毎日の食事を作って下さって。撮影の2週間、たとえば、夕飯は地元の皆さんが作って下さった料理を食べて、帰るという感じでした。毎日違う料理を提供して下さるのは大変だったと思うので、ありがたいです。鹿児島の郷土料理も出まして、嬉しかったですね。映画の中でも歓迎会のシーンがある中で出てくる料理も手作りです。30名分ほどあったはずなのですが、驚くほど豪華な食事が揃っていまして。私たちが体調を壊さずに撮影出来たのは、その方々のおかげだったと思います。

Q:気に入った鹿児島の郷土料理はありますか?
工藤:きびなごの刺身は、鮮度抜群で。あとは柑橘がめっちゃ美味しいんです(笑)そのサラダがあって、とても美味しかったですねぇ。ドレッシングも手作りで。美味しくて、おかわりしました!

Q:撮影を通じて、南大隅町のパワーをどんな風に感じますか?
工藤:南大隅町のパワーや優しさは、新しい風を受け入れて下さる気持ちなどに繋がるのかなと思います。それを直接的に感じられた2週間でしたので。どんどんと落ち着く場所になっていくのを感じました。撮影が進むにつれて、香澄ちゃん!とみんなが声を掛けて下さったり。「頑張ってね」という言葉にも、とても元気をもらいました。

Q:K’s cinemaに足を運ぶ方々には、映画のどんな面を感じてもらいたいですか?
工藤:そうですね。この作品自体、いろいろな方に楽しんで頂ける作品だと思います。東京という土地柄、他県から上京されている方がたくさんいると思います。主人公の香澄は、東京から鹿児島に移住しましたが、生まれ住んだ場所を離れ、環境が変わった方であったり、これから何か環境を変えて頑張りたいと思う方にも届く作品だと思います。

(聞き手:レッズプレス!!有賀久子)

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