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[REDSインタビュー] 平川忠亮ユース監督3『ユース監督を務めた2024年』

「REDSインタビュー」はトップチームやレディースチームを中心に、選手や監督、スタッフ、関係者などを深掘りし、その言葉を届けるコーナーである。
今回は、2024シーズンのユースチームで監督を務めた平川忠亮さんにお話を伺った。4回にわたり、お届けする。来シーズン、ユースチームは高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグに復帰し、平川さん自身は、いよいよ浦和レッズを離れ、J3で、Jリーグ監督の第一歩を踏む。





ユース監督を務めた2024年

RP:今年1年、ユース監督という立場を務めあげられて、こんなところは大変だった、こんなところは監督だからこそ得られた喜びだったなと感じるところはどんな点ですか?

平川:大変なことで言えば……、大変なことばっかりだったかな(笑)。練習ひとつを考えることを挙げても大変だし、週末にどのように繋げていくのかというところも、もちろん、考えなきゃいけないですけど。自分がやりたいことをやらせてというイメージを最初持っていましたけど、何か、この子たちには、そのスタンスでは合わないなと考えて。あとは、自分で考えることだけじゃなく、いろいろなコーチングスタッフと相談しながら、という点で助けてもらったなとは思っています。みんなでチームを作っていくようなイメージですね。

相手のビルドアップに対して、ハイプレスの守備をやろう、となったら、じゃあ、今日の練習では、このようにやりましょう、と。その時も、必ず、こういう立ち位置で、こういって、ここに追いこんで、というよりは、まず、やらせてみて、彼らがどう思うのか、彼ら自身が、パッとやって、パッとうまく相手を追いこめてボールを取れればそれで良いし、何も伝えることはないし、ただ、うまくいかなかった時に、どうしていくかという点を、こう導いていく作業が多かったかなと思っています。

やりなさいというよりは、彼らの中の、こうしたいという表現されるものを、じゃあ、やってみようと受けとめて、なかなかうまくいかない時に、じゃあ、こういうのはどう?こういうのもあるよね?と何個か提案をして、やってみて。何がしっくりとくるのかという形を探るような作業をしながらチームを作っていった、そんなシーズンだったかなと思います。

RP:プレーオフの勝利は、喜び的には大きいものでしたか?
平川:喜びの部分で言えば、やはり、勝利のあとですね。試合が終わって、彼らが笑顔で、ああだ、こうだ、と言いながら喜んでいる姿が見られることが一番、嬉しいですね。いろいろな苦労が吹っ飛ぶ瞬間かな、と思います。やっぱり、負けたら、そんな顔にはならないので。じゃあ、勝利するために何が必要かということを考えることを大事にしていました。このチームのベースの部分、球ぎわ・切り替え・運動量。まず、ここをやってなければ、ピッチに立てないよね、と言い続けました。うちのサッカーは、まず、この3つのベースをやる、とブレずにやってきましたので、全員が、最後までやりきってくれたなと思っています。

RP:“球ぎわ・切り替え・運動量”。その3つのベース。取材の中でも、毎回、耳にしていたので、どこかで、この3つのベースさえ出来れば、このチームは大丈夫だという自信を持っていました。プレーオフ、埼スタから画面を通して応援していましたが、変な自信がありました。
平川:チャレンジしてもらいたい、ミスを恐れないでプレーしてもらいたい、という、いろいろなポジティブなワードを言いながらも、ミスをして負けたくはないわけで。ミスした時には、切り替えるよね、仲間のためにすぐに切り替えるよね、ということです。まずは、チャレンジした自分自身が、責任を持って切り替えましょう、と伝えていました。

チャレンジって、“チャレンジしました。あとは、みんな頼むよ”じゃないから。まず、ミスした自分が、最初に切り替えて、ボールを奪いに行く。だからこそ、仲間が、それに続いてくれて、みんながカバーをしてくれる、というチームスポーツの意識です。チャレンジを恐れずにプレーするためにも、ベースが大事だよ、と言い続けました。ベースとチャレンジ、その両方のバランス。チャレンジしながらも、誰かがボールを失えば、すぐに奪いに行くところを、最後まで規律を持ってやってくれました。

RP:アカデミーチームは、保護者のかたの応援が1つの大きな支えでありますが、身近な人の前でプレーをし続けた経験が、どんな風に、これからの彼らに繋がってもらいたいと思いますか?保護者の方にもメッセージがあれば。

平川:選手たちには、常日頃から感謝しなさいと伝えていました。親が来てくれること、いろいろな方のサポートがあることは当たり前じゃないよ、というところで。前期の矢板中央高校戦だったかな。今年、初めて負けたんですよね、1対4で。その時に、パッと、ご家族のほうを見たら、黙々と旗とかを片付けていらっしゃって。

みんなに「あの姿を見よう」と伝えました。振り返って、みんなでその光景を見て、「こういう風に遠いところまで一緒に来てくれて、旗を掲げて盛り上げてくれて。負けても、何も言わずに、片付けてくれている。保護者の方々だから、子供たちが頑張ってくれれば、それで良いというのがあるかもしれないけれど、ただ、そうやって応援してくる方々を喜ばせるのも、自分たちの仕事だよ」と伝えました。応援される存在になることも、アカデミーのコンセプトでありますから、そういった存在になりましょう、という部分で伝えました。「俺ら、もっと、ピッチで出来ることがあるよね」「ピッチ外でも、もしかしたら、出来ることがあるかもしれないし、この負けた悔しさを持って、応援に来てくれる保護者の方を喜ばせることも大事だよ」と話をしました。

プレーオフは、広島という遠くの地まで足を運んで下さいました。それが当たり前じゃないし、子供たちが気づいているかどうかは分からないけれど、往復すれば、何万という費用がかかって、ホテルを予約すれば、10万とか、もう平気でパンっと飛んでいくような費用を払っているわけですからね。応援に来てくれることを感謝しなきゃいけない、と伝えました。

また、チームとしても、横断幕を張って、試合の雰囲気を作ってくれて応援してくれるというのは、ありがたいですよ。そういう方々が、いるのといないのとでは違うので、チームとしても、感謝しなければいけないところです。本当に心強かったです。広島という遠くの地まで、駆けつけて下さって。いろいろなスタッフも来てくれましたし、チーム全体で成し遂げた、プリンスリーグ、プレミアリーグ復帰かなと思っています。


(聞き手:レッズプレス!!ライター有賀久子)

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