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REDSインタビュー

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[REDSインタビュー] 平川忠亮ユース監督「選手と向き合った1年間」

「REDSインタビュー」はトップチームやレディースチームを中心に、選手や監督、スタッフ、関係者などを深掘りし、その言葉を届けるコーナーである。
今回は、2024シーズンのユースチームで監督を務めた平川忠亮さんにお話を伺った。4回にわたり、お届けする。来シーズン、ユースチームは高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグに復帰し、平川さん自身は、いよいよ浦和レッズを離れ、J3で、Jリーグ監督の第一歩を踏む。



プレミアリーグ復帰を置き土産に


RP:プレーオフの勝利、そして、プレミア復帰おめでとうございます。
平川:ありがとうございます!

RP:プレーオフは、どのような心持ちでいらっしゃったのですか?
平川:プレーオフというか、プリンスリーグの後期に入ってからはもう、選手たちを信じようと思い続けていました。選手たち自身に、ずっと “自分を信じなさい” と伝えてきました。仲間を信じて、チームを信じよう、と。まず、監督である私が、選手たちを信じなきゃ、というところで。いろいろと考えることは多かったですが、ベースにあったのは、選手たちを信じること、選手たちは絶対にやってくれるという信頼でした。

RP:プレーオフでは、この1年間やってきた集大成を見せきることが出来たでしょうか?
平川:そうですね。まず、夏の日本クラブユースサッカー選手権が終わって、プリンスリーグの後期が始まる時、5位からのスタートでした。(関東3枠に入るには)1つも負けられないぞ、と伝えました。
“ここからの全試合、決勝戦のつもりでやろう”
“1試合1試合、目の前の試合を勝利していくしかないぞ”
“勝つ他に俺らに残された道はないよ”
と選手に伝えていましたが、選手たちはその言葉通り、結果を残しながら前進していって、6連勝を果たしました。最後のところで桐蔭学園高校に負けてしまいましたが、その負けという結果自体も、もう一度、みんなが気を引き締めるキッカケになり、本当にもう負けられない、というゾーンに入って、その後の、第17節の東京ヴェルディユース戦、最終節の横浜F・マリノスユース戦に生かして、臨めたと思います。

RP:選手たちは、この1年間で、メンタルが強くなりましたね。プレーオフの京都サンガF.C.戦は、78分に同点にされました。トップチームで考えても、ちょっとガクっとするシチュエーションです。もしかしたら、ゴールによって勢いが増した京都さんの方が、一気に試合を決める可能性もあった中で、最後まで戦って、PK戦に持ちこみました。そしてPK戦でも、3人目が外した後には、すぐさまGK小森春輝が止めて、イーブンにしてくれました。そういうリバウンドメンタリティも身につけた1年だったのかな、と感じました。
平川:チームを立ち上げて、特にプリンスリーグの前期[第1節 4月6日〜第9節 7月14日]は、選手たちが、まだ自分自身を信じていなかったり、仲間を信じきれていなかったり、チームが一丸となるということを表現できずにいました。個が集まっているだけ、というイメージです。

結果を見ても、帝京高校、東京ヴェルディユース、横浜F・マリノスユースと3連敗して、ここでようやく、彼ら自身が、自分たちに何が足りないのかを考えて、いろいろなことを話した結果、彼らの中から1つ出てきたキーワードが “一丸となって戦う” というものでした。そこから、チームは、本当の意味で1つになって戦っていったと感じます。

そして、夏の日本クラブユースサッカー選手権では、連れていったメンバーを全員出場させることができました。少ない時間ではありましたけども、GK吉澤匠真も出すことができて、それこそ、チーム一丸というテーマに近づけた大会だったと思います。大会自体は、ガンバ大阪ユースに負けて結果が出なかったのですが、この大会では、去年のチームを超える、去年の自分たちを超える、というもう1つのテーマを持っていました。ベスト8まで進んだという点では、結果を残すことが出来ました。

ただ、実際は、この結果に満足する選手は誰もいなかったですし、泣いた選手も多かったし、悔しい思いをして、さらに大きな成長を見せたかなと思います。

RP:プレーオフの先発メンバーですが、率直に“お、こういうメンバーを組んだんだ”と少しの驚きをもって見たのですが、多少、3年生にとって最後の大会であるという意識はありましたか?
平川:最後の大会だから、高校3年生というのは……。少し(意識の中に)あったかな……というのが、正直なところですね。実際はそういうことは無しに、良いパフォーマンスを出せる選手を起用すべきだと思っているし、チームのバランスも大事にしていたところです。たとえば、3年生の横山海斗と2年生の薄井翼に関して言えば、どちらを起用してもパフォーマンスは高いんです。いつも、どちらを先発に起用しようかと迷っていて。横山の場合は、左も右も出来るので、そのバランスを取りながら、というところがありましたね。

RP:平川ユース監督が悩むぐらいに、3年生の頼もしさが増したということですね。
平川:この1年の間には、3年生が出られない時期もありました。9月からプリンスリーグの後期が始まって、その最初の5試合ぐらいかな?そうなると、3年生にストレスが溜まってくるのが見えて。ただ、彼らは、それでも練習は手を抜かずにやっている。そういう様子を見ていたので、10月の帝京高校戦では、3年生を起用した試合がありました。

背景には、この帝京戦から中1日で、Jユースカップが控えていて、そこには3年生が出られないので、2年生の起用は控えたいというのがありましたが、それがなくても、その後のプレーオフの戦いをイメージするのであれば、3年生を起用するならば、ここだな、と思いました。

プレーオフは中1日の日程で組まれます。総合的に考えて、プリンスリーグの帝京戦は、3年生を中心にスタートして、結果を出したい、おそらく結果を出してくれるだろうと思って、ピッチへ送り出しました。悔しさを持っている3年生が、今、力を爆発させるんじゃないか、という期待を持って。

と同時に、あのタイミングは、3年生が落ちこむことだけは避けなきゃいけないという考えもあって、彼らにもう1回、“俺たちでも出来るんだ”というところを証明してもらいたいという狙いの中で、見事に、3年生が、自分たちも出来るというところをキッチリと証明した試合でした。
そこは想定通り、2対1で勝利という良い結果を出してくれましたし、良いパフォーマンスでした。そこからの残りの厳しい試合に向けて良かったなと思いますし、その後のプレーオフに向かって好材料になりました。

また、実際、あの帝京はかなり強かったし、それこそ京都戦と同じくらいに押しこまれた時間帯があった中で、途中から、いつも試合に出ているような2年生を出して、盛り返してくれたり、という場面もあって、2年生の頼もしさも感じました。私をはじめ、コーチングスタッフでメンバーを選考していく、スタメンを決定していく中では、さらに迷わなきゃいけないという贅沢な悩みが増えましたね。やっぱり、このチームには、良い選手がいるなぁ、と改めて思いました。


(聞き手:レッズプレス!!ライター有賀久子)

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