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REDSPRESS EYES|新加入選手紹介:明本考浩|レッズプレス!!

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新加入選手紹介:明本考浩

2021年から浦和レッズに新加入する選手を特集。第3回は、サッカー新聞エル・ゴラッソの栃木担当・鈴木康浩記者に、明本考浩選手を紹介してもらった。

高いフィジカル能力と運動量、さらに裏抜けやドリブルまで。
地元愛を持った男が見せた、1年目の衝撃

全身がバネのような選手だ。高いフィジカル能力を持ち、対人も滅法強い。90分間、運動量豊富に走り続けながらスプリントを繰り返すのも当たり前。大卒ルーキーとして栃木に加入した1年目ながら攻撃におけるすべてを担った。FWとして背後へ抜けられるし、ポストで受けられるし、ドリブルで剥がせるし、ゴール前では冷静にフィニッシュを打ち分けられる。守備では栃木が掲げたハイプレスの矢となり相手GKやDFが「こんなに来るのか」と嫌がるほどにプレッシャーを掛け続けた。二度追い、三度追いのハイプレッシャーは当たり前。J2で優勝した徳島ヴォルティスとの試合では相手がプレッシャーを受けようともこだわり抜くビルドアップに対して、四度追い、五度追いしてミスを誘ってマイボールにする強烈なプレーがあった。それがリカルド・ロドリゲスの目にも強烈なインパクトを残したのは間違いない。

明本考浩は栃木SCのスクールからジュニア、ジュニアユース、ユースと昇格。アカデミー時代から「飛び跳ねてプレーするような身体能力が抜群の子ども」で、栃木SCの只木章広育成部長は「10年に一人の逸材」と評する。その明本は国士舘大学に進学してさらに成長を果たす。「ユースのときは攻撃に偏っていたと思うし、守備はあまりしない選手でした。でもそれでは大学では通用しなかった。とにかく走って、守備ではボールを奪い切れないと試合に出られなかった。国士舘がそういう色の大学だったからだが、それが自分にとっては大きな成長につながったと思います」(明本)。それまで代表関連には無縁だったが、大学4年生のときにユニバーシアード代表に選出されると同期の三笘薫(川崎フロンターレ)らとナポリで開催された世界大会での優勝に貢献する。このときに明本が担っていたのはボランチでゲームを作る立場だった。

栃木に加入するとボランチでプレーしたのは数えるほどだった。シーズン当初は4-4-2の右サイドハーフ、途中からトップやセカンドトップなどを中心にこなしたが、これは得点力不足というチームの課題を解消するために明本の能力が必要だったからだ。ボランチより前のポジションならばどこでも高いレベルでこなせる力がある。

明本のプレー動画集などを漁れば、身体能力を生かしたスーパーなゴールが目につくと思う。スローインを胸でトラップして落ち際を左足で振り抜いたボレー。相手の一瞬の隙を突いてラインブレイクして一気にゴールを陥れるプレー。単純なクリアボールでも相手CBに競り勝って前に出ると、慌てたCBのファウルを誘ってペナルティーキックを獲得するプレーも少なくなかった。抜群のフィジカル能力と、そして何より地元栃木を背負って闘う魂のプレーの数々が栃木のサポーターを魅了した。これだけのアカデミー出身の選手がトップチームに輩出されて活躍するのはクラブ史上初めてのことだった。

栃木がフィジカルを重視した縦に速いサッカーを展開していたからこそ明本がハマったという見方もできる。だが明本自身は「縦に速いサッカーも、ボールを大事にするサッカーもどちらでもプレーできる」と豪語する。大学時代もユニバーシアード代表でもボランチでゲームを作る側だったので、どんなサッカーでも、どんな役割でも柔軟に対応できることは自ら証明している。リカルド・ロドリゲス体制下の浦和でもいかようにも適応するだろう。

20年シーズンは同期の三笘がJ1でブレイクする姿に大きな刺激を受けていることを何度も口にしていた。「自分をJ1の舞台で試してみたいが、一方で、栃木SCというクラブをもっと大きくしたいという気持ちも強い。将来は栃木SCがアカデミー出身の選手でトップチームが埋め尽くされるのが夢なので」。そう語っていた明本がこのタイミングで選択したのは、自身のJ1での飛躍だった。愛する栃木を飛び出したからには成功するしかない。栃木の“後輩たち”にとっても刺激になる活躍をしてやろうと燃えているはずである。

(エル・ゴラッソ栃木担当 鈴木康浩)

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