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REDSPRESS EYES|「リアクションサッカー発言」から見る大槻サッカーの現在地|レッズプレス!!

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「リアクションサッカー発言」から見る大槻サッカーの現在地

今回はある選手の発言をフックに、現在のチームが目指すサッカーの形を推察していくコラムを掲載いたします。


(佐藤亮太)

第19節・横浜FC戦(0−2)
第29節・FC東京戦(0−1)
第20節・名古屋戦(0−1)

立て続けにホームゲームで3連敗を喫した。しかし、監督、選手は会見で、ある種の手応えをつかんだと話していた。勝敗とは別に、一体、何が手応えなのか。正直、理解に苦しんだ……。

浦和レッズは24試合が終わり、11勝4分9敗の勝点37の暫定9位。
得点数34失点数37得失点差−3。

11勝には、10節・広島戦のように1点を守り切った試合があれば、16節・札幌戦のような逆転勝利もある。さらに11節・G大阪戦、18節・清水戦のように、先制し、追加点、ダメ押しとゴールを重ねる理想的な試合展開もあった。

一方で9敗は、6節・柏戦(0−4)、9節・名古屋戦(2−6)、14節・C大阪戦(0−3)と大量失点での負けや、イージーなミス、サイド攻撃からの失点がなかなか改善されなかったことが要因と挙げられる。

今季の浦和レッズは、勝敗、成績以上にモヤモヤした気分が残る。
大槻毅監督が目指すサッカーの形が、ここまでいまひとつ見えなかったからだ。

これまでの発言から大槻サッカーを紐解くと、積極的な守備から、ボールをできるだけ相手陣内の深い位置で奪い、一気にゴールに迫るやり方となる。

サイド攻撃と個人技での打開が基調だ。前線・中盤・最終ラインとコンパクトにしながら、できるだけ前に押し上げる。優勢に立つと、最後の最後は自陣での身体を張った粘り強い守備で相手の攻撃を跳ね返すというもの。

クラブの方針に沿えば、高い個人能力をベースにした攻撃的サッカーを最後まで表現しているとは言い難く、それ以上に「これが大槻サッカー」「これがやりたいサッカー」という、継続性が見られなかった。

なぜ、ここまでモヤモヤしたのか?

その解消のヒントが8月26日に行われたリモート会見での槙野智章の言葉、「僕らのサッカーはリアクションサッカー」にある。

リアクションサッカー。

守勢に立ちながら、相手の出方を見て、カウンターで得点を狙う戦術とともに、相手のやり方、戦術を分析したうえで、こちらが対応するという使い方だ。当たり前だが、相手を研究しなければ戦術はたたず、どう戦わなければいけないのかが分からない。

分析に基づく対応をしていくが、こうした分析に目指すサッカーが引きずられすぎている感があり、さらに言うならば、相手に合わせるあまり、結果、表現しようとする個人能力を存分に発揮するサッカーが希薄に見えてしまう。

つまり、槙野の言うリアクションサッカーとは「分析重視のサッカー」ということを指しているのではないかと推察する。

分析通りのプレーができれば、個人能力の高さも相まって、狙い通りの試合を進められる。

しかし、0−4の第6節・柏戦、0−3の第14節・C大阪戦のように、“前半は良いのに、後半、崩れてしまう”のは、分析したもので対応できるものの、それが90分通してできない、または、相手が対応を変えてしまうと後手を踏んでしまうからではないか。

それは、まるで傾向と対策を練った受験生が、いざ本番になったら、まるで違う問題が出されたような感覚だ。

大槻監督は、会見で「相手どうこうというより自分たちにベクトルを向けて……」と話すとともに、「サッカーは相手があってのもの」、あるいは「準備」という言葉を頻繁に使うが、その対策を選手が従順に守るあまり、選手本来のプレーが生かし切れず、窮屈に見えて仕方がなかった。

その均衡がとれ、加えてこれまで監督や選手が語る“手応えなるもの”が感じられたのが、第22節・柏戦だ。1ー1の引き分けではあるが、大槻サッカーが目指そうとする堅い守備からの速い攻撃と、実際、ピッチで表現されたものが、試合を通じて見られた。

そして前節・仙台戦では6−0の圧勝。

試合後、MF長澤は「チャンスの回数が増えた。前節の柏戦もそうだが、やろうとしていることは表現できている。自信をもって次にむかってどんどんやっていければと思う」と手応えが自信につながる内容と結果となった。

残り10試合になり、ようやっと、その形がハッキリ見えてきた。

その一方でクラブが掲げた3か年計画を照らし合わせると、1年目の今季の目標を「ACL出場権」「得失点差2桁」としているが、現状を踏まえれば、よほどの天祐がなければ、達成は難しい。

完成とする形が見えてはきたが、継続しなければ意味がない。

期待と不安のなか、秋の深まりとともに、終盤戦を迎える。

(レッズプレス!!佐藤亮太)


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