（佐藤亮太）
勝てた試合が負け試合になった4つの要因
「残念だった……」
試合後のオンライン会見を終え、浦和・楠瀬直木監督からこぼれた一言が広島戦を物語っている。
前半14分に失点したものの、浦和は試合の入りはまずまず。攻守にブレも大きな破綻もなかった。
さらに選手がポジションに関係なく動き回ってはスペースを埋め、ボールをつなぎ、ゴールにも迫った。
シュート数は広島7本に対して浦和は3倍の21本と圧倒。追いつき、そのまま押し切れるはずだった。
しかし、終了間際、堅守速攻・一撃必殺の広島にうっちゃられ1−2の敗戦。
「まさかの敗戦」「予想外」と思わず口に出てしまうのも理解できる。「長いシーズン、こういう試合はあるさ」と思いたいが、どうも割り切れない。
あれだけ攻めて、あれだけ押し込み、あれだけ守ったのに。それでも勝てないということは、決めるときに決めないとダメだということに尽きる。
いま一度、触れるがシュート数21本。しかし果たして浦和の決定機はいくつあったか。
前半9分のMF猶本、後半42分MF遠藤のこの2つくらいだろうか。
攻めに攻めた。打つには打った。しかし決定機が少なかった。
なぜ、このような状態になったか？
オンライン会見で楠瀬監督は『速攻・遅攻の使い分け』とともに『個人能力と戦術とのバランス』に言及した。
このチームでスタメンになる条件は複数のポジションができる技術の高い選手。そうでないと成り立たないからだ。
ただ指揮官の言葉を借りれば、技術任せになる危うさがある。
個人能力とチーム戦術の兼ね合い。そこには試合の流れをいち早く察知し共有することが必要だ。
そのことはある程度できてはいるが、先日の公開練習後のFW安藤曰く、流れをつかむ時間がまだ長いというのはその点なのかもしれない。
後半アディショナルタイムで、広島が猛然と攻めてきた。
ここで浦和は引き分け狙いの選択肢があったはず。しかし、ホームの浦和には「引き分け」の文字はなく、最後まで勝ちにこだわった。
それがきょうは仇となったかもしれない。
内容では間違いなく勝ち試合。しかし引き分けにもできず、負け試合になったきょうの広島戦。何とも言えない苦み。
これをどう生かすか？サッカーの面白みと難しさと戸惑いを感じた90分だった。
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