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インタビュー

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[REDSインタビュー]石川璃音「大丈夫、大丈夫」と心で唱えながら…。FWからDFへ。秋田から浦和へ。そして、なでしこへ

「REDSインタビュー」は、トップチームやレディース選手、監督、スタッフ、関係者などを深堀りし、その言葉を掲載するコーナーだ。
今回登場するのは、石川璃音選手。シーズン序盤、怪我人続出のなか、加入2年目ながらメンバーに抜擢。レギュラーとして、リーグ全20試合フルタイム出場。まもなく開催されるFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023で、なでしこジャパン入りを果たした。
スポーツ一家に生まれた石川は、ふるさと・秋田から三菱重工浦和レッズレディースに加入するまでの道のりや、2022−23シーズンのこと、そして、なでしこジャパンに選ばれた瞬間の心境と会見直後に流した涙の意味とは。埼玉のママと慕う安藤梢選手についてレッズプレス!!に語った。
(6月25日 オンライン取材)



RP:FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023が開催されますが、本大会を戦う日本女子代表、なでしこジャパンのメンバーに選出されました。その後の反応も含め、選ばれたことについて、石川選手自身、どう受け止めていますか。
石川:代表メンバーが発表された時、自分の名前が呼ばれて、本当にビックリしました。みんなから「おめでとう」と言われて、初めて選ばれた実感がわきました。今まで2度、代表合宿に参加させていただきましたが、試合に関わることが少なく、何も残せていなかったので、今回は難しいなと自分自身、感じていました。
そんななか、選んでいただいて、池田監督の期待に応えないといけませんし、レッズレディースに加入したからこそ、また多くのファン・サポーターのみなさんの大きな声援があったからこそ、見てもらえたのだと思います。
レッズレディースの一員になれたことに感謝しています。うまい先輩たちと一緒にプレーしたことで、カップ戦、リーグ戦で優勝することができました。本当にチームメイト、ファン・サポーターのみなさんに感謝しないといけないなと感じました。

RP:代表選出会見の際、地元の秋田県のメディアの方が参加していました。聞けば、男女通じて、初めてワールドカップのメンバーに選ばれたということで大きく取り上げられ、盛り上がったようですね。
石川:アンダーカテゴリーで選ばれた時とは、その反応は違っていました。(※2022FIFA U-20女子ワールドカップ・コスタリカ大会)
なでしこジャパンに選ばれると「こうなるんだ」と感じました。まだ試合に出ていないにも関わらず、これだけ注目してもらえているのは、とてもありがたいですね。

RP:その会見の終わりの方ですかね。フォトセッション前に、猶本さんから「今、璃音は泣いています」とツッコまれていました。
石川:あの時は、光さんが話していた時に泣いていたので、私もウルウルしてしまって……。自分が泣いたら、おかしいなと思っていたのですが。自分がワールドカップに選ばれるかどうかで悩んでいた時、うまくプレーできない時期がありました。その時に光さんが自身の体験談を話してくれたんです。その話を聞いて、「こんなことで悩んでいたなんて申し訳ないな」と。そうしたことがあっての会見だったので、光さんが選ばれたことが嬉しくて、自分のことよりも嬉しかったですし、いろいろと思い出して、泣いてしまいました。光さんが頑張っている姿を、たくさん見てきたので、余計に嬉しかったです。

RP:ちょっとサッカーを始めた頃のお話を聞きたいのですが、秋田で放映された番組で、石川選手のことを紹介していました。スポーツ一家ということで、身体能力の高さなどは「なるほどな」と感じました。
小学校の時はFWをやっていて、大きく蹴ったボールに追いついて、ゴールを決めたという話を以前に聞きました。誰しもサッカーは楽しいというところから始まりますが、その気持ちが「サッカーが自分に合っているな」とか、「将来の職業としてやっていけるんじゃないか」と変わった瞬間はありますか?
石川:そうですね、中2の頃ですかね。小さい頃は楽しんでやっていました。スポーツの世界にプロというものがあるんだと知ってからは、「きっと女子サッカーにもプロの世界があるんだ」と勝手に思っていました。それが自分の夢になりました。
小学校の時に所属していたスポーツ少年団では、平日、コーチが仕事をしていたので、子どもたちだけで練習して、土・日にだけ、コーチがいました。その当時の監督から「東北トレセンに行ってみないか?」と声をかけてもらい、東北トレセンに行ったら、今度は「JFAアカデミーを受けてみないか?」ということになり、テストを受けました。「これで受からなかったら、秋田でやろう」と思っていたら、受かってしまいました(笑)。
(秋田を離れた)中1の時、ほかの選手に比べて、足もとの技術がなくて、先輩方が上手でした。なので、サッカーが嫌な時期がありました。楽しくプレーできないというか……ミスしたら嫌だから「ボール来ないで!」とか、「またサッカーか……」とか思ったり。
そんななか、中2になってセンターバックでプレーし始めたのが大きなキッカケになりました。自分の長所が分かりはじめて、自信がもてるようになりました。中学の時は基礎の部分、たとえば、1対1では相手からボールを奪えるようになりました。当時の指導者の見汐翔太さんが、褒めて伸ばすタイプの方で、褒められるのが嬉しかったです。

RP:要所、要所で周りの方に導かれているというか、恵まれていますね。で、以前から聞きたかったのですが、「大丈夫」という言葉を大事にしているということですが、「大丈夫」の言葉のなかに、石川選手の芯のようなものを感じます。
石川:中学生の頃は、焦ってミスをしていました。高校生になって、そうした焦る気持ちを変えなければ、と感じて、試行錯誤した結果、失敗した時に味方を褒めて、自分の気持ちをあげて、味方が頑張っているから自分も頑張ろうと思うようになり、そのうちに自分自身に「大丈夫」と言い聞かせるようになりました。
今もですが、ミスしたあとに……チームメイトも優しいので「璃音、大丈夫だよ」というのを含めて、言い聞かせて、心の中で「大丈夫、大丈夫」と唱えて、落ち着かせるようにしています。

RP:2022−23シーズンのリーグ戦についてお聞きします。シーズン当初は、若い失点が多かった印象でした。しかし、それがなぜ、少なくなったのか。以前、GK福田史織選手に質問したところ、「安藤選手がうまく融合してくれた」と答えてくれました。そのうまく融合というところを教えてもらいたいです。
石川:センターバック同士なら、「こう来たら、こう」というのが分かります。もちろん、声を掛け合っていますが、分かり合っているだけに、あまり話をしていませんでした。安藤さんがコンバートして組み始めた時、安藤さんから「ここはこうした方が良い?」と気軽に聞いてくれたんです。そうした機会で考え方を一致させ、共有できるようになりました。試合で失点した時は試合直後に話し合いますが、週の頭にある練習でも集まって話し合います。また、GKとDFだけでなく、サイドバックの選手も集まって、まとまって話すようになりました。

RP:ちょうど安藤選手の名前が出たので、お聞きします。練習生として参加した際、石川選手を見た安藤選手が「海外向きの選手だ」と非常に驚いたと印象を話してくれました。
石川:高校の時に指導していただいた山口隆文監督が筑波大学関連で、自分のことが安藤さんに伝わっていたようでした。ちょうど、自分も進路に悩んでいて、安藤さんと初対面でしたが、「今、大学に進まなくても大丈夫だと思う。璃音はプロで大丈夫」とアドバイスをもらったことが心強かったです。練習していて、楽しかったです。センターバックには萌華さん(南萌華)、はなさん(高橋はな)、フネさん(長船加奈)がいました。たとえ、試合に出られなくても、一緒に練習するだけで違います。3人と一緒にやりたい、というのと、安藤さんから学びたいと思い、加入しました。安藤さんには魅了されますね。人柄も……。なので、“埼玉のママ”って呼んでいます。本当にすごいですよね。今のオフ期間には、メニューを考えてもらいました。ちゃんと寝て、ちゃんと食べるんだよ、と言われました。今までもそうですが、安藤さんから受けたアドバイスを実行すると、すべてがうまくいくんです。自分で考えないと、という時期はありましたが、うまくいかなくて……。安藤さんに助言してもらいました。全部、正解をもっている感じですね。安藤さんからは代表に行った時、何も準備せずに試合に出たら、何もできなかった、だから、準備は大事だという話をしてもらいました。「璃音には、そういうことをしてほしくない。(代表に)選ばれる、選ばれないじゃなくて、試合に出ることを目的に練習しないといけないよ」と教えてくれました。ワールドカップ発表前も試合に出た時、何ができるかを考えてトレーニングしました。
(今回、メンバーに選ばれた時)安藤さんから、LINEで「本当にすごいよ、おめでとう」と連絡をいただきました。あとから電話しましたが「ツイているよ!すごいよ!」と。「安藤さんのおかげです」と言ったら、安藤さんが「そうだね」と言った後、「いやいや、璃音が頑張ったからだよ」と、そんな会話をしました(笑)

RP:なでしこジャパンの日々が始まります。
石川:緊張より、ワクワク感が出てきました。2022−23のWEリーグアウォーズで、MVPになった安藤さんが「年齢は数字じゃない」って話をしましたが、私の場合は、逆に若いってところで「年齢は数字じゃない」という気持ちで頑張りたいです。

(聞き手:レッズプレス!!佐藤亮太)

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